近年自然災害に見舞われる頻度が増してきました。その中でも水害は毎年国内のどこかで発生しています。

被災された方々は住まいを失い、避難所生活を余技なくされ、命に係わる苦難を強いられています。そして復興には国、個人としても、多大な費用と時間を要します。

さらにがれきの処理と河川に流れ込んだ家庭ごみは、海洋汚染へとつながり、環境保護の観点からも積極的に取り組む大きな課題かと思います。

総合防災住宅とは

総合防災住宅の、核となる耐水害住宅の施工ノウハウは、会員企業より提供されます。

総合防災住宅の①耐水害性能

総合防災住宅の誕生は、上記の図示のように、2019年の19号台風で長野市の一部で千曲川の堤防決壊によって大災害を被りました。その被災状況から3メートルの氾濫水位に耐える耐水害住宅を信州大学工学部建築学科、遠藤研究室と共同研究し、開発したものです。

1階は水密性と、耐水圧を考慮の結果、壁式の鉄筋コンクリート構造物となりました。結果的には1階は耐震性能が抜群の強度を有する建物となり、2階の木造は平屋として、構造計算を行い現在の耐震等級Ⅲを上回る強度設計をすることができました。

耐水害住宅

3メートルの氾濫水位に耐える家避難所生活を回避できる家

耐水害住宅の開発経緯と、実建築物のデータはこちらをクリックしてください。

我が国は、昔から自然災害に見まわれてきました。地震、集中豪雨による水害、台風による水害と風害等、毎年全国各地で被災しています。
そのたびに、多くの尊い命が失われ、復興に多大な損失が発生してまいりました。
そして多大な廃棄物処理に大きな費用を費やし、処分に応じて、2酸化炭素も排出され、地球環境に悪影響をもたらしています。
現在まで、住まいも技術革新により、省エネ、地震等に対応してまいりましたが、いまだ水害に対しては、無防備なままであります。
2019年台風19号の千曲川堤防決壊による被災状況をみて、弊社の止水技術を持ってすれば、3メートルの氾濫水位に対応可能と判断し、信州大学と共同で研究開発を進め、耐水害住宅の完成にこぎ着けました。
被災経験をもとに、過酷な避難所生活を回避できる機能を備えた高性能な住まいとなりました。

(出典:産経新聞記事 「千曲川浸水、最大4・3メートル 長野市、地理院が推計」より 参照記事はこちら

避難所生活を回避できる家

イメージ図

通常日常

非常時

1階 平面パース

換気

2階の壁から給気・排気を行う

Point
1

浮力と水圧に耐える

1階は浮力と水圧に耐える鉄筋コンクリート造

Point
2

生活機能は2階へ

万が一に備えて、重要な生活機能を2階に上げ、1階は寝室などの空間にする

Point
3

2階 平面パース

2階に設備機器設置

2階にエコキュート、冷暖房機、室外機、給水タンクを設置することで緊急時も生活機能を維持できる

Point
1

万が一に備え

避難はしご設置

Point
2

緊急時も安心

太陽光発電と蓄電池の設置によりキッチン、トイレ、ユニットバスが使える

Point
3

生活設備の条件設定

Conditions

生活排水に必要なものは、インフラが破壊されない限り使用可。給水タンクを設置する。
非常時に急場をしのぐ生活水を確保しておく。(貯水タンクの設置)

電気

分電盤は二階に設置、万が一予測を超える浸水があった場合でも、1階のコンセント類は使用不可となるが、2階の機能は損なわない、太陽光発電とバッテリーの設置により、非常時も生活できる。

排水

公共下水放流手前に逆流防止弁をつけ、排水管からの逆流を防ぐ。1階のトイレ排水管はバブル止水とする。

換気

換気は第3種換気とし、1階の給気は2階外壁より行い、排気も同様に2階より排出する。

冷暖房

エアコンによる冷房、暖房とし、本機、室外機とも氾濫水位以上に設置し、機能を破壊されないように設置する。

毎年それらの災害は全国各地で発生し、甚大な被害を被っています。2018年には、台風21号が静岡県に上陸し、岩手県迄強風が吹き抜け、建物の倒壊、屋根の吹き飛び被害が発生し、翌年2019年には台風19号による豪雨で千曲川の堤防が決壊し大水災害が発生しました。何れも多大な被害、損害をもたらし、国の経済の根幹を揺るがしています。更に損壊した廃棄物の処理など地球環境への悪影響も懸念されます。

総合防災住宅の➁耐震性能

総合防災住宅としての耐震住宅は、前述の紹介にありますように、耐水害住宅の耐水性を保つための鉄筋コンクリート造がもたらす、構造計画が結果として、高耐震性能を保有する建築物になりました。以下過去の災害状況から、さらなる減災の目標値を定め研究、実践的な基準を示してゆきます。

過去の震災に学ぶ・阪神淡路大震災

平成7年(1995年)1月17日5時46分、淡路北部、深さ16kmを震源とするマグニチュード7.3の地震が発生しました。この地震により、神戸と洲本で震度6を観測したほか、豊岡、彦根、京都で震度5、大阪、姫路などで震度4を観測するなど、東北から九州にかけて広い範囲で有感となりました。気象庁の被害状況調査の結果、神戸市の一部地域等において、震度7であったことがわかりました。震度の状況と被害状況については、下表のようになります。

(出典:神戸市 阪神・淡路大震災「神戸GIS震災アーカイブ」)
(出典:内閣府「阪神・淡路大震災復興誌」)
地震の概要a 発生年月日平成7年1月17日5時46分
b 震源地淡路島北部(北緯34度36分、東経135度02分)
c 震源の深さ16km
d 規模マグニチュード7.3 (各地の震度(気象庁発表)は下記のとおり)
(※)平成13年4月23日の気象庁「気象庁マグニチュード検討委員会」結果によりマグニチュード7.2から修正。
各地の震度震度7神戸市須磨区鷹取、長田区大橋、兵庫区大開、中央区三宮、灘区六甲道、東灘区住吉、芦屋市芦屋駅付近、西宮市夙川付近等のほぼ帯状の地域や、宝塚市の一部及び淡路島の東北部の北淡町、一宮町、津名町の一部の地域
(地震発生直後に行った気象庁地震機動観測班による現地被害状況調査の結果判明。)
震度6神戸、洲本
震度5豊岡、彦根、京都
震度4奈良、津、敦賀、福井、上野、四日市、岐阜、呉、境、高知、福山、鳥取、多度津、徳島、岡山、高松、大阪、舞鶴、姫路、和歌山、津山、加西、相生、南部川、坂出、多賀、美方、高野山
震度3大分、名古屋、輪島、金沢、飯田、富山、伊良湖、尾鷲、萩、山口、西郷、広島、松山、室戸岬、米子、松江、潮岬、諏訪
震度2高田、長野、軽井沢、松本、横浜、甲府、河口湖、三島、静岡、御前崎、浜松、伏木、高山、宇和島、宿毛、下関、日田、宮崎、都城、佐賀、熊本、人吉
震度1小名浜、新潟、水戸、柿岡、宇都宮、前橋、熊谷、秩父、東京、千葉、館山、網代、神津島、浜田、足摺、延岡、福岡、平戸、鹿児島、阿蘇山
人的被害死者6,434名※平成17年12月22日に修正
行方不明者3名 
負傷者重傷10,683名 
軽傷33,109名 
43,792名 
施設関係等被害住家被害全壊104,906棟(186,175世帯)
半壊144,274棟(274,181世帯)
一部破壊390,506棟 
639,686棟 
非住家被害公共建物1,579棟 
その他40,917棟 
文教施設1,875ヶ所 
道路7,245ヶ所 
橋梁330ヶ所 
河川774ヶ所 
がけ崩れ347ヶ所 
ブロック塀等2,468ヶ所 
水道断水約130万戸(ピーク時)
(厚生省調べ)
ガス供給停止約86万戸(ピーク時)
(資源エネルギー庁調べ)
停電約260万戸(ピーク時)
(資源エネルギー庁調べ)
電話不通30万回線超(ピーク時)
(郵政省調べ)
「阪神・淡路大震災について(確定報)(平成18年5月19日、消防庁)」より

過去の震災の歴史と、建築基準法の変遷

(出典:国土交通省)

今後総合防災住宅として、耐震性能をどこまで高めてゆくのか、当会として目標定めて、研究、普及をしてゆきます。

現行の建築基準法

現行耐震等級の基準
耐震等級 倍率
Ⅲ    1.50
Ⅱ    1.25
Ⅰ    1.00
※熊本地震の場合耐震等級Ⅰ、Ⅱでは倒壊が続出、等級Ⅲは被害が軽微
大地震後も住み続けるにはⅢ等級が最低ライン

総合防災住宅の目標基準

目標耐震等級の設定(当法人任意等級)
耐震等級 倍率
Ⅳ    1.75
Ⅲ    1.50
Ⅱ    1.25
Ⅰ    1.00
※更なる耐震倍率を設定し、世の中に普及してゆく
公共建築物と同等の耐震計算を行う

総合防災住宅の③耐風性能

2018年台風21号の被害状況

瞬間最大風速

アメダス日最大瞬間風速[m/s]観測時刻記録
関空島58.113:38観測史上1位
和歌山57.413:19観測史上1位
室戸岬55.311:53観測史上1位
友ケ島51.813:14観測史上2位
熊取51.213:40観測史上1位
日和佐50.311:05観測史上1位
敦賀47.915:00観測史上1位
大阪47.414:03観測史上3位
セントレア46.314:17観測史上1位
彦根46.214:13観測史上1位
南紀白浜45.811:33観測史上1位
神戸空港45.313:55観測史上1位
尾鷲45.013:30観測史上4位
43.613:50観測史上1位
川辺42.212:11観測史上1位
神戸41.813:41観測史上5位
風屋41.612:49観測史上1位
枚方40.214:24観測史上1位
(出典:気象庁)

(出典:BBC NEWS JAPAN「25年ぶりの強い台風21号、西日本で多数死傷 強風に高潮」参照記事はこちら

(出典:BBC NEWS JAPAN「25年ぶりの強い台風21号、西日本で多数死傷 強風に高潮」参照記事はこちら

耐風住宅について

・耐風等級1は、建築基準法に規定されている性能と同等の性能を言います。

 きわめてまれに発生する暴風による力に、構造躯体が倒壊、崩壊せず、かつ、まれに発生する暴風による力に構造躯体が損傷しない性能を持ちます。

・耐風等級2は、上記の1.2倍以上の余力がある性能を言います。

極めて稀に発生する暴風に対しては、「倒壊、崩壊しないこと」なので、損傷する可能性はあります。

(出典:国土交通省)

詳しくは、次の資料を参照ください。
国土交通省のHP:建築:令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の強風対策 - 国土交通省 (mlit.go.jp) 

耐風住宅 今後の研究課題

耐風住宅 課題解決への進め方

核となる耐水害住宅の誕生

1.開発のきっかけ

2019年10月13日、長野県長野市の豊野地区が千曲川の堤防決壊により水害が発生いたしました。同様に毎年全国各地で、降雨線状帯の発生による集中豪雨、台風襲来による水害が頻繁に起きています。ここで紹介する耐水害住宅は、長野市の水害の状況から、3メートルの氾濫水位を設定して、信州大学と共同研究開発をいたしました。

2.開発の条件設定

A.3メートルの氾濫水位に耐えられる建物
浸水しない
・躯体が破壊されない
・開口部(玄関ドアー、窓)破壊されない、浸水しない
流されない

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